日本固有の製法にて製造されている刀剣類である日本刀には、さまざまな特徴が見られます。
その中でも材料が鉄であるということに関係が深い特徴としては、まず以下の2つが考えられるでしょう。

・曲がりにくい
・折れにくい

“曲がりにくい”という性質を実現するためには、“かたさ”を持つ必要があります。
ですが“折れにくい”という性質を実現するためには、“やわらかさ”を持つ必要があるのです。
“かたさ”と“やわらかさ”というのは完全に真逆の性質であるため、その性質を同時に持っているという物質を用意するのは非常に難しいといえるでしょう。

それでは、日本刀はこの相反する性質を、どのようにして実現しているのでしょうか。

その答えが、日本刀の刀身の形状である“造り込み”もしくは“甲伏せ(こうぶせ)造り”と呼ばれている手法です。
造り込みという言葉は本来、「中に入れて作ること、もしくは作って中に入れること」のような意味合いとなります。
そして日本刀においては、“やわらかい鉄”を芯にして、“かたい鉄”をその周りに配しているような形となっています。
外側にある“かたい鉄”が曲がりにくさを、内側にある“やわらかい鉄”が衝撃を吸収して折れにくさをというように、性質が異なる2種類の鉄を合わせてうまく利用することによって、日本刀ならではの性質を実現しているのです。